経理のプロとして、次のステージを目指すあなたへ
経理として日々の業務に取り組む中で、「もっと経営の意思決定に関わりたい」「会社の戦略立案に携わってみたい」と感じることはありませんか?
経理職で培った数字への感度や正確性、財務に対する深い理解は、企業にとって非常に価値の高いスキルです。そして、これらの経験を活かしながら、より経営に近いポジションで活躍したいと考えるのは、とても自然なキャリア志向と言えるでしょう。
一方で、「経営企画って具体的に何をするの?」「自分のスキルで通用するのか?」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、経理から経営企画へのキャリアチェンジを成功させるために必要な知識と準備についての情報をお伝えします。
経理と経営企画、何が違う?役割とスキルの比較
まずは、経理と経営企画の違いを明確に理解することから始めましょう。
経理の役割
経理の主な役割は、企業の財務活動を正確に記録し、報告することです。具体的には、日々の取引記録、月次・四半期・年次決算、税務申告、予算管理などが中心となります。
これらの業務は、過去から現在にかけての数字を整理・管理することに重点が置かれています。
経営企画の役割
一方、経営企画の役割は、企業の未来を描くことです。市場分析、競合分析、事業計画の策定、新規事業の検討、M&Aの検討、中長期戦略の立案などが主な業務となります。
経営企画では、過去の数字を分析しつつも、将来の事業展開や成長戦略を考えることに重点が置かれています。
求められるスキルセットの違い
経理では「正確性」「専門知識」「継続性」が重視されるのに対し、経営企画では「分析力」「戦略思考」「創造性」「コミュニケーション力」がより重要になります。
また、経理が社内向けの業務が中心なのに対し、経営企画では社外のステークホルダーとの関わりも多く、より幅広い視野と対外的なコミュニケーション能力が求められます。
経営への関与度
最も大きな違いは、経営への関与度です。経理は経営の結果を数字で表現する役割であるのに対し、経営企画は経営そのものを企画・立案する役割を担います。
経理経験者だからこそ持つ、経営企画での4つの武器
経理から経営企画への転職は、決してゼロからのスタートではありません。経理経験者には、経営企画で大いに活かせる強みがあります。
1. 数字に対する正確性と信頼性
経理業務で培った数字への厳格な姿勢は、経営企画でも非常に重宝されます。戦略立案における数値分析、事業計画の作成、ROI計算などにおいて、「この数字は信頼できる」という評価を得やすくなります。
2. 財務諸表の深い理解
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を読み解く力は、競合分析や投資判断、M&A検討において強力な武器となります。多くの経営企画担当者が苦手とする財務分析を、経理経験者は自然にこなすことができます。
3. コスト感覚と予算管理能力
経理業務で身につけたコスト意識は、事業計画策定や新規事業検討において重要な視点を提供します。「理想的だが現実的でない計画」ではなく、「実現可能で収益性の高い計画」を立案できる能力は、経営陣から高く評価されます。
4. 実務に根ざした現実的な視点
経理業務を通じて会社の実態を数字で把握してきた経験は、机上の空論ではない、実現可能な戦略立案につながります。現場の状況を理解した上での企画提案は、他部署からの協力も得やすく、実行力の高い戦略となります。
経営企画で求められる新たなスキルセット
経理経験を活かしつつ、経営企画で成功するためには、新たなスキルの獲得が必要です。
分析スキル
経営企画では、財務分析だけでなく、市場分析、競合分析、事業分析など、多角的な分析能力が求められます。SWOT分析、3C分析、5フォース分析などのフレームワークを使いこなし、複雑な情報を整理して洞察を導き出す力が必要です。
また、定量分析と定性分析を組み合わせて、データに基づいた説得力のある提案を作成する能力も重要になります。
戦略思考
論理的思考力をベースに、「なぜそうなるのか」「他にどんな選択肢があるのか」「リスクは何か」を常に考える習慣が必要です。仮説を立て、検証し、修正するというプロセスを繰り返しながら、最適解を見つけ出す能力が求められます。
長期的な視点で物事を捉え、複数のシナリオを想定した戦略立案ができることも重要です。
コミュニケーション能力
経営企画では、分析結果や戦略案を経営陣や他部署に分かりやすく伝える能力が不可欠です。
プレゼンテーション技術、資料作成能力、会議での発言力など、自分の考えを効果的に伝えるスキルに加え、多様なステークホルダーとの関係構築力が求められます。
今日から始める!経営企画転職への準備ロードマップ
具体的にどのような準備を進めればよいか、今すぐ始められる学習と実務での経験積み上げ方法をご紹介します。
今すぐ始められる学習
1.経営戦略の基礎知識(フレームワーク学習)
まずは経営戦略の基本的なフレームワークを習得しましょう。SWOT分析、3C分析、5フォース分析、バリューチェーン分析、PEST分析などの基本フレームワークを理解し、実際に身近な企業に当てはめて練習してみてください。
2.財務分析・企業分析スキル
経理経験を活かして、より高度な財務分析スキルを身につけましょう。ROE、ROA、ROIC、EVAなどの経営指標の深い理解と、これらを使った企業価値評価手法を学びます。
実際に上場企業の有価証券報告書を読み込み、競合他社との比較分析を行う練習を継続的に行うことで、実践的なスキルが身につきます。
3.業界研究と市場分析の習慣化
ビジネス誌や業界の記事を読み、業界動向や市場トレンドを把握する習慣をつけましょう。
特に、自分が転職を検討している業界については、深く研究し、主要プレイヤー、市場規模、成長要因、課題などを整理しておくことが重要です。
実務での経験積み上げ
予算策定への積極的参加
現在の職場で予算策定プロセスがある場合は、積極的に関わりを深めましょう。
単なる数字の集計ではなく、予算の背景にある事業戦略や市場環境について質問し、理解を深めることで、経営企画的な視点を養うことができます。
経営陣向け資料作成の機会獲得
月次報告書や決算説明資料の作成において、単なる数字の羅列ではなく、分析コメントや改善提案を加えるよう心がけましょう。
経営陣の視点に立って、「この数字が示す意味は何か」「今後どのような対策が必要か」を考えて資料作成することで、戦略的思考力を鍛えることができます。
他部署との連携プロジェクト参加
営業部門の売上分析、製造部門のコスト削減プロジェクト、人事部門の人件費最適化など、他部署との連携が必要なプロジェクトには積極的に参加しましょう。
異なる視点を持つメンバーとの協働を通じて、全社的な視野とコミュニケーション能力を向上させることができます。
あなたの経営企画キャリアは今日から始まる
経理から経営企画へのキャリアチェンジは、あなたの今までの経験を無駄にするものではありません。むしろ、経理で培った強固な基盤の上に、新たなスキルを積み重ねることで、他の候補者にはない独自の価値を提供できる人材になることができます。
大切なのは、今日から計画的に準備を始めることです。経営企画キャリアへの第一歩を踏み出したい方、今後のキャリアを悩んでいる方は、是非AGSコンサルティングの転職サイトへご登録のうえ、まずはお気軽にご相談下さい。