ビジネスパーソンにとって「年収1000万円」は、一つの到達点として意識されやすいラインです。
一方で、経理職は成果が直接売上に結びつきにくいことから、到達できる人材やポジションが限られるのが実情です。
ただし、連結決算や開示業務を軸とした専門領域、あるいは管理職・CFO候補といったフェーズに入ることで、経理でも年収1000万円帯の求人は現実的な選択肢となるでしょう。
本記事では、経理で年収1000万円に到達するために必要なスキルや経験、狙える企業・ポジションの特徴を整理して解説します。
あわせて今の経験を踏まえたキャリア戦略も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
経理で年収1000万円に到達する人の割合と特徴

経理職として年収1000万円に到達するには、一般的なキャリアとは異なる条件が必要になります。
ここでは、年収1000万円に到達している人の割合を整理したうえで、経理職としてこの水準に到達する人材の共通点や条件を解説します。
年収1000万円超は上位約6%しかいない
年収1000万円は、ビジネスパーソン全体で見てもごく一部に限られる水準です。
国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」をもとに、給与階級別の分布を整理すると、次のとおりです。
| 区分 | 給与所得者数 | 構成割合 |
| 1000万円超~1500万円以下 | 約230万人 | 4.5% |
| 1500万円超~2000万円以下 | 約58万人 | 1.1% |
| 2000万円超~2500万円以下 | 約15万人 | 0.3% |
| 2500万円超 | 約17万人 | 0.3% |
| 1000万円超 合計 | 約230万人 | 6.2% |
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査(第16表)」をもとに作成
このような高年収帯に属する人は、企業規模の大きな会社で、役職と専門性の両方を任されているケースが多く見られます。
1000万円に到達する経理の人材とは
年収1000万円に到達している経理人材には、役割・専門性・企業環境に共通した特徴があります。
- 連結決算・開示・財務など、明確な専門領域を持っている
- 部長・マネージャーなど、組織や業務全体に責任を持つ立場にある
- 上場企業、外資系企業、IPO準備企業などで勤めている
このように、年収1000万円に到達する経理人材は、連結や開示などの専門領域を持ち、組織や業務全体に責任を負う立場にあるケースが一般的です。
また、年収水準の高い上場企業や外資系企業、IPO準備企業といった環境に、高年収層が集まりやすくなっています。
年収1000万円を実現する企業とポジション

年収1000万円クラスの経理ポジションは、企業の構造や成長フェーズによって生まれやすさが大きく変わります。
ここでは、報酬水準が高くなりやすい企業タイプと、その中で年収1000万円に近づきやすいポジションを見ていきましょう。
大手・上場企業
大手企業や上場企業では、社員の報酬テーブルが役割や階層ごとに明確に設計されており、管理職ラインに入ることで年収レンジが大きく引き上げられる傾向にあります。
一般社員と管理職では年収差がはっきりしていて、一定の役職に到達すると年収1000万円が現実的な水準として見えてきます。
また、連結決算や開示対応、グループ会社全体の数値管理といった高度な業務が行われている点も特徴です。
このような専門性の高い業務は対応できる人材が限られるため、評価や処遇に反映されやすい領域といえるでしょう。
外資系企業
外資系企業では、ベース給与が高めに設定されているケースが多く、管理職クラスでは年収1000万円が視野に入りやすい環境にあります。
職務内容と責任範囲に応じて報酬が決まるため、年功序列よりもポジションや成果を重視する傾向にあります。
連結決算やレポーティングなど専門性の高い領域を担える場合、実務経験が評価されやすいといえるでしょう。
経理マネージャー・経理部長・CFO
経理マネージャーや経理部長、最高財務責任者であるCFOといった立場では、KPI設計や管理会計、監査対応、経営層へのレポーティングなど、経営判断に直結する業務が中心になります。
数値を正しくまとめるだけでなく、「組織や事業をどう動かすか」まで求められるため、責任の重さに比例して報酬水準も引き上げられやすいポジションといえるでしょう。
年収1000万円の経理に求められるスキル・経験

年収1000万円クラスの経理では、次の3つの観点で総合的に評価されます。
- 連結決算・開示など専門領域の深さ
- 組織運営とリーダーシップ
- 監査法人・金融機関など外部交渉力
ここでは、高年収帯の経理ポジションで重視される要素について、具体的なスキルや経験の中身を順に紹介します。
連結決算・開示など専門領域の深さ
年収1000万円クラスの経理では、連結決算や開示業務を自ら判断し完結させられるかが重視されます。
グループ全体の数値を把握し、関係会社や監査法人と調整しながら連結を取りまとめる役割を担っているかが、この年収帯では前提条件となるでしょう。
また、決算短信や有価証券報告書など、外部説明を前提とした開示業務に主体的に関与している点も重要なポイントです。
くわえて、資金調達や資金繰り管理といった財務経験は、経営への関与度が高いと評価され、報酬水準に反映されやすくなります。
組織運営とリーダーシップ
マネージャーなどのポジションでは、実務の正確さだけでなく、組織全体をどう機能させるかが問われます。
5〜20名規模のチームを牽引し、業務と人の両面に責任を持つ経験が期待されるでしょう。
主に、業務分担の設計や進捗管理、決算スケジュールの統制、メンバー育成など、現場を回す役割を担っているかが重視されます。
さらに経理部長クラスでは、人的リソースの配分や経理方針の決定といった、より上位の判断が求められる立場です。このような意思決定の経験が、高年収につながる要素といえます。
監査法人・金融機関などとの外部交渉力
経理マネージャーや経理部長といった管理職ポジションは、監査対応や銀行との借入交渉など、社外との調整力が求められます。
監査対応では、指摘事項の背景を整理し、内部統制や業務フローの改善につなげる役割を担うことになります。
また、金融機関とのやり取りでは、財務状況や資金計画をわかりやすく説明し、企業としての信頼性を示す場面も多く見られます。
このような場面では、会計処理の考え方や判断根拠を説明し、必要に応じて議論できる知識レベルが必要となるでしょう。
経理で年収1000万円を実現するキャリア戦略

経理で年収1000万円に到達するには、働く環境を変えるか、ポジションを引き上げるかのいずれかを選ぶ必要があります。
ここでは、自身の強みと市場ニーズの重なりを踏まえながら、現職・転職それぞれの戦略を解説します。
現職で1000万円を目指すケース
現職で年収1000万円に近づくには、次のような点がポイントになります。
- 部長・マネージャーなど、経理組織の意思決定に関わる立場になれるか
- 決算業務だけでなく、経営企画や財務と連動したポジションに就けるか
経理職の場合、1000万円に到達するかどうかは部長ライン以上が一つの分岐点となります。
組織全体の数値管理や体制づくりに責任を持ち、経営層に近い立場で判断を求められるようになることで、報酬水準が大きく変わるケースが見られます。
また、経営企画や財務との連携を深め、数字を「処理する役割」から「経営判断に活かす役割」へシフトできているかも重要です。
このようなポジションが現職で狙える場合に限り、転職をせずとも年収1000万円が視野に入ってくるでしょう。
転職で1000万円を目指すケース
転職で年収1000万円を目指す場合は、次のような点がポイントになります。
- 上場・外資・IPO準備企業のマネージャー以上、または部長・CFO候補ポジションを狙えるか
- 連結・開示・財務など、高年収帯につながりやすい領域の経験が活かせるか
転職では、上場企業・外資系・IPO準備企業における管理職や上位ポジションを視野に入れることが前提になります。
年収1000万円超の経理求人は、採用の重要度が高いため非公開で進められることが多く、一般の求人サイトでは見つけにくいのが実情です。
この年収帯を目指す場合は、経理に強い転職エージェントを活用し、自身の経験が評価される企業・ポジションを整理したうえで進めることが現実的といえるでしょう。
求人の見極め方
年収1000万円を目指す場合は、条件面だけでなく「入社後に任される業務範囲」を具体的に把握することが重要です。
とくに確認しておきたいのは、次のポイントです。
- 募集背景が増員か、欠員補充か
- 担当領域や役割分担が明確に示されているか
欠員補充の場合は、すでに稼働している決算や管理業務を引き継ぐ前提となるため、比較的早い段階から責任ある業務を任されやすくなります。
一方、増員募集では将来的な役割拡大を見据えた採用となることも多く、業務範囲は段階的に広がるケースが多くなります。
また、求人票に主計・財務・管理会計などの担当領域が整理されているかも判断材料になります。
業務範囲が具体的に示されている求人ほど、入社後のイメージがつきやすく、ミスマッチを防ぎやすいでしょう。
まとめ:経理で年収1000万円を目指すなら、ハイクラス求人に強い転職エージェント「AGS」へ

経理で年収1000万円に到達するには、決算や開示といった高度な専門性だけでなく、企業規模や担う業務や管理の役割の大きさが大きく影響します。
連結決算・開示・財務といった専門領域を軸に、マネジメントや経営判断に近いポジションへ進めているかどうかが、一つの分かれ目になるでしょう。
バックオフィス特化の転職エージェントであるAGSでは、会計コンサルティングファームとして培ってきた企業とのリレーションを活かし、精度の高いハイクラス経理求人を多数保有しています。
これまでのご経験を丁寧にヒアリングしたうえで、年収1000万円を視野に入れたキャリアの選択肢を具体的に整理します。まずは、ご自身の市場価値と今後のキャリアの選択肢を確認するところから始めてみませんか?
監修者
株式会社AGSコンサルティング
クライアントサクセス部・サブマネージャー
花井 功
外食産業の店舗責任者からジョブチェンジして、採用サービスを取り扱うITスタートアップ(現プライム上場)に2013年に入社。IS、FS、CSと役割を変えながらスタートアップから大手上場企業まで採用コンサルティングに従事。その後、RPO、人材紹介の事業立ち上げフェーズに参画。2025年AGSコンサルティングにて人材ビジネスの立ち上げ責任者として入社。現在に至る。