経理職は、成果が収入に直結しにくく、高年収には届きにくい仕事だと感じている方も少なくありません。そうした背景から、経理で年収800万円を目標にすることにハードルの高さを感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、上場企業やIPO準備企業、専門性の高いポジションでは、従来の経理職のイメージとは異なる報酬水準が設定されるケースも見られます。
本記事では、年収800万円水準の経理求人が見られる企業の傾向、評価されやすいスキルや経験、30〜40代の経理職のキャリアモデルを解説します。
今後の転職やキャリア設計を考えるうえでの判断材料として、ぜひ参考にしてください。
経理で年収800万円は目指せる?

経理職の年収は、働く企業の環境や担っている役割によって大きく変わります。
ここでは、経理職の平均年収と年収800万円に到達している人の特徴について整理します。
経理の平均年収と800万円のレベルとは
厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、経理職(会計事務従事者)の平均的な年収は、500万円前後に位置しています。
転職のボリュームゾーンである30代から40代の年収目安は、次のとおりです。
| 年齢 | 月給 | 年間賞与 | 年収合計 |
| 30~34歳 | 299,600円 | 932,000円 | 4,527,200円 |
| 35~39歳 | 322,400円 | 1,097,800円 | 4,966,600円 |
| 40~44歳 | 342,200円 | 1,198,500円 | 5,304,900円 |
| 45~49歳 | 344,800円 | 1,217,800円 | 5,355,400円 |
出典:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査(区分:会計事務従事者/企業規模:10人以上/男女計)」をもとに作成
このように、30代後半から40代にかけて年収はゆるやかに上昇するものの、多くの経理職にとって「年収500万円から600万円」までが一つの目安となります。
そのため、経理職で年収800万円に到達するケースは、平均的な年収帯を大きく上回り、上場企業や一部の高年収な業界、または管理職など限られたポジションで見られる水準といえるでしょう。
800万円に到達する経理はどんな層か
年収800万円前後の求人で想定される経理人材には、次のような共通点が見られます。
- 決算業務を「担当する立場」ではなく、「取りまとめる立場」で経験している
- 開示、連結決算、監査対応など、専門性の高い業務に携わっている
- 管理職でなくても、リーダーとして業務を任された経験がある
企業が重視しているのは、月次・四半期・年次決算を一連の業務として理解し、上司や他部署と調整しながらやり切ってきたかどうかです。
また、開示や連結決算など高度な業務は対応できる人材が限られるため、結果として年収水準が高く設定されやすくなります。
なお、後輩への指導や業務改善、プロジェクト単位でのリーダー経験など、個人作業にとどまらない役割を担ってきたことも、一つの判断材料になります。
年収800万円が狙える企業の特徴

経理職の年収は、個人のスキルだけで決まるものではなく、企業規模や業界、ポジションにより大きく左右されます。
ここでは、年収800万円前後の求人が見られる企業や業界を紹介します。
上場企業
上場企業では、経理業務が一括りにされることは少なく、主計・財務・税務・管理会計といった役割ごとに業務が分かれているケースが一般的です。
このように、担当領域と責任範囲がはっきりしているため、どの分野をどこまで任されるかによって、年収にも差が生じやすい環境といえるでしょう。
なかでも、主計や財務の中核業務、あるいは税務・管理会計で専門性を発揮できる役割では、年収800万円前後と待遇が高くなる傾向にあります。
外資系企業
外資系企業の経理職は、年功序列ではなく、職務内容と成果を軸に処遇が決まる傾向が強いのが特徴です。
ポジションごとの責任範囲が明確で、役割に見合った給与が設定されやすいため、年収800万円前後での募集が行われることも少なくありません。
英語力は求められるものの、経理職の場合は会議で流暢に話すレベルまで必須とされないことも多く、読み書きを中心とした実務対応力がポイントとなります。
年収水準が高い業界(IT/金融/保険/インフラ)
収益性が高く事業が安定している業界では、経理職などの管理部門にかけられる人件費にも余裕が生まれやすくなります。
国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が最も高いのは、電気・ガス・熱供給・水道業が「832万円」、次いで金融業・保険業「702万円」となっています。
また、IT業界である情報通信業も平均660万円と、全体の中では高い水準に位置しています。
とくにIT業界では、事業拡大にともない経理体制の整備が必要となるケースが多く、上場準備や内部管理強化を目的とした採用が活発です。
決算業務にくわえて、体制構築や業務改善を担える人材は評価されやすく、年収800万円前後で募集されるケースも多くなります。
一方、金融・保険やインフラ業界では、規制対応や正確性の高い会計処理が求められるため、応募要件は厳しめですが、業務の重要性に見合った待遇が用意されやすい点が特徴といえるでしょう。
年収800万円を稼ぐ経理のスキル

年収800万円クラスの経理ポジションでは、任されてきた業務の内容が重視されます。
ここでは、実際にこの年収帯で求められやすい実務経験やスキルの共通点を整理します。
決算の取りまとめ
年収800万円の経理ポジションを目指すうえで、決算業務を一通り自走できることは前提条件といえます。
月次・四半期・年次決算を部分的に担当してきた経験だけではなく、スケジュール管理や関係部署との調整を含めて、決算全体をまとめ上げた経験が求められます。
開示・連結など専門領域の経験
開示資料の作成や連結決算といった専門性の高い業務は、おもに上場企業やIPO準備企業で求められる領域です。
これらの業務は制度の理解や正確性が強く問われるため、対応できる人材が限られ、転職市場でも評価されやすい経験といえます。
とくに、決算短信や有価証券報告書の作成、連結パッケージの取りまとめなどに関わった経験がある場合、経理としての役割の幅が広がるため、年収アップにつながりやすくなります。
チームマネジメント・プロジェクト管理
経理で年収800万円を稼ぐには、一社員としての個人作業だけでなく、業務や人をまとめる立場での経験が求められます。
体制づくりや業務フローの見直しなど、組織として成果を出す視点を持っているかがポイントです。
上場企業では、担当者とマネジメント層の役割が明確に分かれるため、管理職ラインに進むことで年収差が一段階引き上げられやすい傾向にあります。
また、決算全体の進行管理や他部門との調整を任される立場になると、待遇面にも反映されやすくなります。
経理で年収800万円を実現するキャリア戦略

経理で年収800万円を目指すには、現職でのキャリアアップか、転職により環境を変えるかを見極める必要があります。
ここでは、現職にとどまるケースと転職を選ぶケース、それぞれの考え方と判断ポイントを見ていきましょう。
現職で800万円を目指すケース
現職で年収800万円に近づくには、次のような点がポイントになります。
- 管理職以上のポジションに就ける可能性があるか
- 課長クラス以上として、組織や業務全体を見渡す役割を担うか
- 経営企画や財務寄りの業務に関与できるか
まず重要になるのは、現職において管理職以上のポストが現実的に狙えるかどうかです。
経理職の場合、担当業務をこなす立場のままでは昇給に限界があり、課長クラス以上として人や業務を束ねる役割を担うことで、報酬水準が大きく変わるケースが多く見られます。
また、経営企画や財務など、数字を「まとめる」だけでなく「経営判断に活かす」領域に関わる機会があると、社内での評価も変わってくるでしょう。
このような役割を任される環境が整っている場合は、転職をせずとも年収アップを狙える可能性があります。
転職で800万円を目指すケース
転職によって年収800万円を目指す場合は、次のような点がポイントになります。
- 現職の給与テーブルが固定されており、昇給の上限が見えている
- 経理組織が小さく、担当できる業務領域が広がりにくい
- より高い年収水準の企業・業界へ環境を変える必要がある
現職で一定の評価を得ていても、企業全体の給与水準が抑えられている、あるいは役職に就いても年収の伸び幅が限られている企業では、目標水準に届かないことがあります。
そのような状況では、年収アップを実現するために「報酬水準の高い環境へ移ること」が現実的な手段となります。
また、経理組織が小規模で、連結決算や開示業務、財務、管理会計といった高度な領域に携わる機会が少ない環境では、経験の幅が広がりにくい点も課題となります。
上場企業やIPO準備企業、年収水準の高い業界へ転職することで、これまでの経験を活かしつつ、より評価されやすいポジションに就ける可能性が高まります。
求人の見極め方
年収800万円を目指す場合は、条件面だけでなく「その求人で求められる役割」を見極めることが重要です。
確認したいポイントは、次のとおりです。
- 募集背景が増員か、欠員補充か
- 経理組織の規模や役割分担が明示されているか
まず、募集背景は重要な判断材料です。
欠員補充の場合、すでに回っている業務を引き継ぐ前提となるため、決算や管理業務など責任のある仕事を任されやすい傾向があります。一方、増員募集では将来的な役割拡大を見据えた採用であることも多く、立ち上がりは比較的穏やかなケースも見られます。
くわえて求人票に「どの業務をどこまで任せるのか」が具体的に書かれているかも確認したいポイントです。
主計、財務、管理会計など担当領域が整理されている求人の場合、入社後の役割がイメージしやすく、企業と求職者双方のミスマッチを防ぎやすくなります。
まとめ:経理の年収800万円へのステップアップは、バックオフィス特化の転職エージェント「AGS」へ

経理職の平均年収は500万円前後であり、年収800万円は上場企業や収益性の高い業界など、限られた環境で見られる水準です。キャリアを積んできた30代から40代は、決算の取りまとめや開示・連結、マネジメント経験が評価されやすく、次のステップを考えやすい時期でもあります。
重要なのは年収額そのものではなく、「どの企業で、どの役割を担えば経験が正しく評価されるか」を見極める視点です。
バックオフィス特化の転職エージェントであるAGSでは、上場企業・上場準備企業・成長企業を中心に、豊富な経理職の求人を紹介しています。
これまでのご経験を丁寧にヒアリングしたうえで、年収800万円を視野に入れたキャリアの選択を支援しています。具体的な転職時期が決まっていない段階でも、お気軽にご相談ください。
監修者
株式会社AGSコンサルティング
クライアントサクセス部・サブマネージャー
花井 功
外食産業の店舗責任者からジョブチェンジして、採用サービスを取り扱うITスタートアップ(現プライム上場)に2013年に入社。IS、FS、CSと役割を変えながらスタートアップから大手上場企業まで採用コンサルティングに従事。その後、RPO、人材紹介の事業立ち上げフェーズに参画。2025年AGSコンサルティングにて人材ビジネスの立ち上げ責任者として入社。現在に至る。