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2025.07.15

30代経理マネージャーが今考えるべきキャリア戦略と転職事情

30代の経理マネージャーの方にとって、今はキャリアの重要な分岐点かもしれません。実務とマネジメント経験を積んだものの、「この先どのような道に進むべきか」という迷いを抱えている方も多いでしょう。また、プライベートにおいても子育てなど環境変化も多く様々なことを考えなければならないことも事実です。
現状維持を続けることのリスクを感じつつも、具体的にどのような道があり、何をすべきかがはっきりしていない。そんな30代経理マネージャーの皆さんに向けて、戦略的なキャリア設計の考え方と具体的なアクションプランをお伝えします。

30代経理マネージャーの市場価値

30代経理マネージャーの市場価値

30代の経理マネージャーは、転職市場において非常に価値の高い人材です。それは、実務とマネジメントの両方を兼ね備えた「最適」な存在だからです。
年収相場としては500万円から800万円程度の求人が多く、中小企業では500-700万円、大手企業では600-800万円、外資系企業や金融業界では800万円以上のオファーも珍しくありません。コロナ禍以降、デジタル化推進やガバナンス推進も進み、経理マネージャーへの需要は継続的に高まっています。

また、コンサルティング業界、金融業界、スタートアップ企業のCFO候補など、他職種・他業界からの引き合いも増加しており経理マネージャーの経験を様々な領域で活かす選択肢があります。

選択できる4つのキャリアパス

選択できる4つのキャリアパス

1.経営参画ルート

経営部長、CFO候補、経営企画部門として企業の経営に直接関与する道。
IPO準備企業や成長企業における経理責任者や経営企画として、内部統制構築、投資家向け資料作成、経営陣への戦略提言など、通常業務を超えた経験を積めます。

求められるスキル:経営数字の理解、戦略的提言能力、各部門責任者との対等な議論力

2.大手企業専門職ルート

より高度で複雑な経理業務に特化して専門性を極める道。
グローバル企業でのエリア統括や連結決済責任者として、国際会計基準対応、為替リスク管理などの専門スキルを習得できます。

求められるスキル:IFRS対応、高度な会計知識、ビジネスレベルの英語力

3.ファイナンス領域展開ルート

FP&A、IR部門などに活躍の場を広げる道。
投資銀行やPEファンドでは財務デューデリジェンスや企業価値評価分野で活躍でき、高い報酬も期待できます。

求められるスキル:企業価値評価、財務分析能力、英語力(TOEIC800点以上推奨)

4.アドバイザリー・独立ルート

会計系コンサルティングファームの専門家、またはフリーランスや経理アドバイザーとして活動する道。
IPO支援、内部統制構築など様々な企業の課題解決に携わり、より自由度の高い働き方を実現できます。公認会計士や税理士の資格取得ができればさらに信頼と需要は上がるでしょう。

求められるスキル:問題解決力、提案力・プレゼンテーション能力、営業力(独立の場合)

キャリアパス実現のための具体的アクション

キャリアパス実現のための具体的アクション

1.共通基盤の強化

資格取得:日商簿記1級、USCPAやMBA取得
英語力向上:最低TOEIC700点、理想800点以上を目指す

2.キャリアパス別の重点取り組み

経営参画:月次業務報告で要因分析・改善提案を併せて実施、予算策定での主導的役割
専門職:高難度プロジェクト参加、国際会計基準習得による社内専門家ポジション確立
ファイナンス展開:余日分析・競合比較分析の自主実施、M&A案件への積極参画
アドバイザリー:業界セミナー参加、他部署連携プロジェクト主導

3.実績づくりのポイント

現職で転職時にアピールできる定量的実績を作りましょう。「月次決算を3日短縮」「年間200時間の工数削減実現」など、自身がプロジェクトの主体者となり具体的な数字で示せる成果が強力なアピール材料となります。

子育て世代のキャリア戦略

子育て世代のキャリア戦略

30代経理マネージャーの多くは子育て世代でもあります。子育てと仕事の両立を考慮した戦略的キャリア設計についてもご紹介します。特に子どもは急に体調を崩したり、ケガをすることも少なくありません。有効な「時間」の使い方ができる環境を作ることで両立の実現に近づけます。

1.現状維持 vs 転職の判断基準

子育て期間中は何より仕事時間と家族時間の確保が重要となります。そのためには、「現職維持」か「転職」かといった判断も必要となるでしょう。

現状維持が適している場合:リモートワーク制度が整っている、時短勤務制度がある、上司・同僚の理解がある、通勤時間が短い、業務量の調整が可能、といった条件が揃っている環境であれば、現職での継続を検討しましょう。

転職を検討すべき場合:長時間労働が常態化、リモートワーク不可、子育てへの理解が低い職場環境、通勤時間が長い(片道1時間以上)等の場合は、働き方改善のための転職が有効です。

2.子育て世代におすすめの転職先

転職を選択する場合、以下のような企業・業界は比較的子育てしやすい環境であると言えるでしょう。

おすすめ企業の特徴:女性活躍推進認定企業(えるぼし認定)、ワークライフバランス重視を明言している企業、リモートワーク制度が充実している企業、時短勤務・フレックス制度がある企業、託児所完備の企業です。

狙い目の業界・企業規模:IT・SaaS企業(リモートワーク文化が根付いている)、大手メーカー(制度が整備されている)、外資系企業(効率重視の働き方)、従業員数500-2000人規模の企業(制度と柔軟性のバランスが良い)がおすすめです。

3.子育て期間中のスキル維持

子育て期間も完全にキャリアを停止させる必要はありません。子どもの就寝後や早朝時間を活用した資格取得の継続、業界セミナーのオンライン参加、SNSでの同業者との交流維持などが効果的です。

4.40代からのキャリア再構築

子どもが小学校高学年から中学生になる40代前半~半ばには、再び仕事に本格的に向き合えるタイミングになります。40代の転職は選択肢が限られる面もありますが、マネジメント経験と専門性を兼ね備えた即戦力として高く評価されます。

子育て中に自身の学習時間を捻出し、資格取得をしたり、働き方を良くしながらも自身でテーマを決めて経験値を増やすことができれば、本格的に仕事に向き合うタイミングで自分のチャレンジがしやすくなるでしょう。

5.子育て経験の活かし方

子育てで培った忍耐力、計画性、多様な価値観への理解力は、チームマネジメントにおいて大きな強みとなります。部下の多様な働き方を理解し、それぞれの強みを活かしたチーム運営ができる管理職は、現代企業にとって価値の高い人材です。

 

今日から始める具体的アクション

今日から始める具体的アクション

まず自分の現在のライフステージと、今後5-10年の家族状況の変化を整理してください。その上で、4つのキャリアパスの中から自分のライフスタイルと価値観に最適なものを選択しましょう。選択したキャリアパスに必要なスキルアップ計画を立て、少しずつ実行に移してみてください。

1人で整理することが難しい場合は、キャリアコンサルタントに相談しながら整理していくこともお勧めです。AGSコンサルティングの転職サイト】にご登録をいただければ、ご自身のキャリアを棚卸しながら、どんなキャリアを描いていけば自分らしい生き方ができるのか、AGSのキャリアコンサルタントが一緒に考えさせていただきます。

経理マネージャーとしてのあなたの経験とスキルは、ライフステージが変わっても価値のあるものです。今の状況を活かしながら、戦略的にキャリアを築いていきましょう。

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